高次脳機能障害

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは、交通事故により脳に損傷を受けた方が、外見上は回復したかのように見えても、認知障害・行動障害・人格変化などの症状が生じ、日常生活、社会生活の適応能力が低下又は喪失し、障害の程度によっては社会復帰が困難になる後遺障害のことをいいます。

高次脳機能障害の症状

以下のとおり、高次脳機能障害の症状は、全般的に認知障害と社会的行動障害に大別されます。

認知障害

  • 記憶障害(忘れっぽくなる、新しいことを覚えることができない)
  • 注意障害(ミスが多くなる、同時に二つのことができない、集中力の低下)
  • 遂行機能障害(計画を立てて物事を遂行できない、指示を受けないと行動できない)
  • 病識欠落(自分が障害を持っていることを意識できない)

社会的行動障害

  • 依存性・退行(すぐ人に頼る、子供っぽくなる)
  • 欲求コントロール低下(我慢ができない、浪費、暴飲暴食)
  • 感情コントロール低下(怒りっぽくなる。突然感情を爆発させる)
  • 対人技能拙劣(相手の立場や気持ちを思いやることができない)

高次脳機能障害の診断

高次脳機能障害の判断は、以下の(1)~(4)が基本的な要素となります。

(1)交通事故により頭部に外傷が生じたこと

(2)受傷後、意識障害が継続して存在していたこと

一般的に、高次脳機能障害は、意識障害を伴う頭部外傷後に起こりやすいとされています。意識障害の有無とその程度については、頭部外傷後の意識障害が少なくとも6時間以上継続すると永続的な高次脳機能障害が残ることが多く、健忘症又は軽度意識障害が少なくとも1週間以上続いた場合も高次脳機能障害を残すことがあるとされています。

(参照:平成23年3月14日報告書「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」)

(3)交通事故による脳の受傷を裏付ける画像上の所見があること

脳の外傷を認定するための資料としては、CTやMRI等の画像所見が重要視されます。もっとも、びまん性軸索損傷による高次脳機能障害の場合、受傷直後のCT,MRI画像では一見正常に見えることも少なくありません。しかし、びまん性軸索損傷の場合、脳内に天井出血が生じていることが多く、また脳室内出血やくも膜下出血を伴いやすいので、これらの症状が画像から認められないか検討する必要があります。

また、慢性期の画像所見として、脳室拡大、脳萎縮の有無を確認する必要があります。

(参照:平成23年3月14日報告書「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」)

(4)認知障害、人格変化等の症状が生じていること

高次脳機能障害の認定には、上記に挙げたような症状が生じていることが必要です。この点については医学的な証明が困難ですので、被害者の家族等、交通事故前の被害者の人格を知る人の協力を得て、事故前と事故後の知能の変化、人格の変化を整理・対比する必要があります。

高次脳機能障害の後遺障害等級

一般的に、高次脳機能障害について該当する後遺障害等級は以下のとおりです。

等級 障害の程度
1級1号 神経系統の機能は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの